病は気から

こんにちは、院長の渕脇です。

今日、さっき来たお客さんから聞いた話です。

その方は60代の女性で、病気のご主人の介護をもう20年近くしている方です。
ここ数年は体調も悪く、出かける先で気を失って倒れてしまうこともあり、なかなか自由に外出もできなくなっていました。

抗うつ薬と睡眠薬を長期間服用していて、「うつ病」ということで入院などの経験もあります。
私の所に来るたびに、辛い胸の内を吐き出して、ときには涙まで見せるほど追い込まれていました。

「この介護生活がいつまで続くのだろうか、そう思うと死にたくなってくる。」

そんなことを言う事もありました。

ところが、です。

この春、通院している精神科の主治医が異動して、別の先生に変わりました。
この新しい先生が、彼女の脳のCT画像を見て、こう言ったそうです。

「あなたはうつ病でも何でもない。ただご主人の介護で疲れ果てているだけです。病気ではないので、今後、薬は必要ありません。」

こう告げられて、自分は今までうつ病だと思っていたご本人はびっくりしたのと同時に薬を飲まないことに対しての不安を感じたそうです。

しかし、しばらくすると、「自分は病気ではないんだ、これからは前向きに生きていこう。」と思えるようになって来たそうです。
当然のことながら、ご主人の介護生活という状況は何一つ変わっていないのにもかかわらず、気持ちがとても軽くなったというのです。

実際に、久しぶりに整体を受けに来た彼女の表情は、以前の表情とは比べ物ならないくらい穏やかになっていました。

「悩んでいるのがばかばかしくなってきた。」
「主人にも少し、優しく接することができるようなったかも。」
「人間、気の持ちようでこんなにも違うんですね。」

と、しみじみと語っていました。

病気、とくに精神疾患は、「病気だと思うと病気になる」そんな事が起こります。
「病は気から」とはよく言ったものだなあ、と思うのです。

ストレスが溜まって、仕事が忙しくて、悩み事があって、よく眠れない。
眠れないから疲れが取れない。
疲れが取れないから、やる気もなく、集中力もなく、普段なら出来ることができなくなる。

こういう状態になると、「とにかく、精神科や心療内科を受診しなさい。」ということになっています。
受診すれば、何らかの病名が付けられ、薬を処方されます。
その瞬間に、本当の病人になってしまうこともあります。
この方のように、ただ、疲れているだけなのかもしれないのに。

精神疾患は、診断が難しい病気です。
先生が変わると診断も変わる。
そんな事が起こる可能性があるのです。
自分が病気と診断されたかどうか、そんなことに振り回されることはありません。
病気と診断されたからといって、自分からその病人になってしまわないように気を付けてください。

cd1c7ccec442b51fb3de581e0c0e5cb0_s

大切なことは、気持ちを切り替えることができるかどうか、だと思うのです。
この方の場合は、前向きに生きていこうと気持ちを切り替えることが出来たのが良かったのです。

「悩んでいるのがばかばかしい。」

そういう心境になれるまで、彼女は悩んで苦しんだのだと思うのです。

どうせ一度しかない人生です。
悩んで過ごそうが、前向きに過ごそうが、どちらでも構わないのです。
わざわざ苦しい方を選択しなくてもいいじゃないか。

そんな心境になれたら、とても楽になれると思うのです。
やっぱり、「病は気から」なんですね。

フォローしてください!